世界に冠たる日本のユニフォームは、何と言っても素材のすばらしさが特徴です。天然繊維、合成繊維、その混繊や混紡素材はたいへん奥が深く、それだけでも数冊の本が出来るほどですが、ここでは基礎的な知識を記載します。
天然繊維、合成繊維ともそれぞれの繊維ごとに製造法はまったく異なりますが、一般に天然繊維は絹を除き短繊維(繊維長が短い)、合繊は本来エンドレスの長繊維ですが、天然繊維の感触を出したり、混紡したりするため短く切って短繊維化されるのもごく一般的です。
なお合繊繊維、なかでも衣料品向けのポリエステルの生産量は圧倒的に新興工業国が多く、中国は世界シェアの4割を占めています(日本は2.4%)。中国では約千社と言われるポリエステルメーカーがあり、その製造設備は日本メーカーから買い入れた最新設備で、若い社員が作っているところが大半です。一般に中国や東南アジア製品は日本製に比べ品質が劣るようなイメージがありますが、実際はそうではないことを、お客様にはしっかり伝えましょう。
お客様には天然繊維至上主義で、合繊混は安物と認識しておられる方がいます。現実には低級天然繊維よりは高級合繊の方が、機能性や風合い、耐久性とも優れているのですが、なかなか理解していただけません。しかし、その思い込みは、戦後、人絹と呼ばれていた粗悪な再生繊維の時代や、合繊黎明期の記憶に基づいていると言ってよいものです。誤解を解くために、私たち自らがしっかり知識を持って、お客様に合繊混の良さを説明しましょう。