レディースユニフォーム協議会 Ladies Uniform Conference

プロの基礎知識 9 / 15

【4】業態の違いと製造プロセス

時代と共に進化する製造プロセス

ユニフォーム業界を、川上、川中、川下に例えると、川上とは素材産業のことで、合繊や紡績メーカー、素材商社などを指します。川中はアパレル、縫製メーカー、川下は販売最前線を指しています。またユニフォームには別注オリジナルデザイン主体の受注JV※1(大手商社、素材メーカー、百貨店などで構成されることが多い)と、代理店制度による既製服販売主体(カタログの商品販売。市場はこちらが大きい)の2つの流れがあり、受注から商品確定、ものづくりのプロセスは大きく異なります。お客様にとってのメリット・デメリットを表にしました。

◆別注オリジナルデザインと既製ユニフォームの比較◆
オリジナルデザイン 既製服購入(カタログ備蓄商品)
商品設定 高級から簡便なものまで自在。 計画された「カタログ」商品の範疇から選ぶ(※カタログ商品を元にセミオリジナル対応可能)一般的にはベーシック商品充実で、 強い個性があるゾーンは品薄になっている。
コスト 既製服に比べ諸経費が割高になりがち。 コストダウンを追求しやすい。
製造期間と納期 仕様確定に時間がかかり、生産工場が外注の場合、リードタイムが長くなりやすい。 計画生産後は即出荷可能。
間接経費 著名デザイナー起用、確認業務増大などで1デザインにかかる間接経費増大。 1デザインあたりの経費を抑えやすい。
オリジナリティ 独自デザインで他社との差別化が明確になる。そのためセキュリティ性に優れる。 既製服自体はオリジナルデザインでも、人気デザインほど多数の企業が採用。
デザインの完成度 C.I※2、V.I.※3をデザイン表現しやすい。 奇抜さや独創性は低いが、業務利便性や高バランスで完成度の高いデザインが多い。
アフターフォロー オリジナル生地は長期追加需要対応がしにくい。(生地備蓄、追加生産はコストアップになりがち) カタログ商品は経年備蓄の配慮がある。
  • ※1:【JV】・・・JOINT VENTURE:合弁会社
  • ※2:【C.I.】・・・CORPORATE IDENTITY:企業がもつ特徴や理念を体系的に整理し、簡潔に表したもの。
  • ※3:【V.I.】・・・VISUAL IDENTITY:視覚統一でイメージを明確化すること。
製造プロセス
  1. 用途とデザインに適した糸づくりのため最近では合繊混や他者混が多くなり、ピュアウールやコットン、綿なども改良加工が多くなっています。一般にオリジナル糸や色は、仕掛かりセッティングに時間がかかり、多めのリードタイムを見ておく必要があります。
  2. 織り・編み
    微妙な手触りと視覚的な差異を求めて、実に多彩な生地が用意されますが、オリジナル記事の発注は時間がかかりロスが発生しやすくなるため、周到な計画が必要。また、桝見本を作成し、色柄を選べるようにするとお客様の選択肢が増え喜ばれますが、その分時間とコストがかかります。
  3. 染色・仕上げ
    糸のリスクを下げるため、後加工で機能性を付与する生地が増えています。
  4. 裁断
    制度の高いCAMにより、品質にばらつきのない裁断が可能になります。
  5. 縫製
    ポケット、衿、袖口、ファスナーなど専用ミシンを使った制度の高いパーツと縫い合わせが行われます。
  6. 中間アイロン
    特にジャケットやベストなど、芯地や裏地のある重衣料では、縫製途中でプレスを行い、よりクオリティの高い製品が作られます。
  7. 仕上げ
    ふっくらと立体的に仕上げるため、専用のアイロン台でスチームと温度設定を最適化したプレスが行われます。
  8. 検品
    縫い針の混入を防ぐことはもちろん、わずかなミスも見逃さないよう、最新の注意で検品されます。
  9. 備蓄
    できあがった製品は、いったん備蓄倉庫に収納され、出荷の時を待ちます。
  10. 梱包
    仕向け地別に、必要商品が傷まないよう梱包され、出荷されます。
  11. 納品
    内容物に間違いがないか、折しわがひどくないか確かめお客様に渡します。
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15